小学校1年生で、既に子供の理解力・記憶力には大きな差があり、1教えると10理解する子、10教えてようやく10理解する子。
一度出来るようになったことを二度と忘れない子、時間が経つと忘れる子。
様々な子供がいて、能力の違いを否定することは出来ません。
では、能力の違いはなぜ生まれるのでしょう?
遺伝と環境がどの程度、学力に影響を及ぼしているのか調べた興味深い研究があるので紹介します。
国語・数学は遺伝しない?!
一卵性双生児・二卵性双生児・一般児の標準学力テストのデータを分析した
「古典的テスト理論と遺伝因子分析モデルによる標準学力検査の分析」
によると、学力における遺伝因子の影響は「教科」によって異なり、特に国語と数学は遺伝よりも、環境因子によって学力が左右されるのだそうです。
教科ごとの特徴をまとめると次のようになります。
①国語②数学
遺伝の影響は非常に小さく、子どもを取り巻く環境の影響が大きい。
③社会
約半分(52%)が遺伝によって説明されるが、学年が進むにつれて、環境の影響が大きくなり遺伝の影響が(相対的に)減少すると考えられる。
④理科
約半分(56%)が遺伝によって説明されるが、理科に対す興味・関心の程度も大きく影響している。
ただし‥物理だけは、数学の因子構造に似ており、環境の影響を大きく受ける。
被験者の数が統計学的に信頼できる数ではないので鵜呑みにはできませんが、別の研究で、「記憶力の遺伝は20%」との発表もあり、
国語と数学の学力は環境次第というのも、あり得ないとは言いきれません。
また、日本と同じように、答えを求めることを重視するドイツにおいても、教科ごとの特徴は日本と同じで、
「国語と数学の学力は環境の影響を大きく受ける」との研究結果が出ているのだそうです。
では、理科社会も含め、学力に重要な環境因子とは何か…?
学力に大きな影響を与えていると考えられる「家庭の経済力」「学習時間」について、こんな資料を見つけました。
「家庭の経済力(SES)」と「学習時間」が学力に影響!
家庭の経済力(裕福かどうか)によって、子供を4つのグループに分け、子供の学習時間と成績をグラフにあらわした結果・・・
平日の学習時間と教科の平均正答率の関係の例 <小学校・国語A>
文部科学省委託研究「平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の 結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究」より
◎家庭の経済的背景(SES)と子供の学力との間には強い相関関係があるが、家庭の経済的背景(SES)が低いからといって、必ずしもすべても子供の学力が低いわけではない。
◎子供の学習時間は、全ての家庭の経済的背景(SES)で学力との関係が見られ、学習時間は不利な環境を克服する手段の一つと考えられる。
つまり、「裕福な家庭ほど子供の成績は良いけれど、一生懸命勉強すればするほど、学力はどんどん上がる!」ということになります。
裕福な家庭は、子供の勉強に投資することができるため、成績が上がるのは当然と言えば、当然かもしれませんね。
でも、たとえお金をかけられなかったとしても、勉強する時間を確保することで、成績を上げることは可能なのです。
つまり、学力は「お金」や「勉強時間」などの「環境」に大きな影響を受けているのです。
まとめ
学力は、遺伝より環境の影響を大きく受けるという実験&調査結果は、多数あります。
子供の学力を伸ばすには、学習時間の確保をはじめ、環境の整備が必要ですね。
具体的な環境作りについては、子供の成績を上げる14のヒントを参考にしてください。